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節税にはならない?法人のゴルフ会員権購入で知るべき税務・会計ルール

「今期利益が出そうだから、会社名義でゴルフ会員権を買って節税しませんか?」

このような営業提案を耳にした経営者の方も少なくありません。しかし、法人によるゴルフ会員権の購入は、一般的に想像されるほど“節税効果が高い”わけではありません。むしろ、税務処理を誤ると、役員への給与認定や交際費否認といったリスクにつながるケースもあります。

本記事では、中小企業の社長・経理担当者向けに、法人がゴルフ会員権を購入・利用する際に必ず知っておきたい税務・会計ルールを整理します。

 

 

 

1.法人がゴルフ会員権を購入する主な理由

接待目的

重要顧客との商談や関係性構築の場としてゴルフを活用したい企業では、ホームコースを確保するため会員権を取得するケースが多く見られます。プレー代やコンペ費用については、業務関連性があれば交際費として扱われるのが一般的です。

 

福利厚生

社内コンペや社員間交流、表彰イベントなどに活用されることがあります。ただし「福利厚生費」として認められるには、公平な利用機会があるか・特定の役員だけが優遇されていないかなどの観点が重視されます。

 

役員の利用

役員が業務関連の接待で利用する場合は問題ありませんが、実態として私的利用が多いと税務上のリスクが高くなります。利用目的や記録を残しておくことが重要です。

 

 

 

2.ゴルフ会員権の会計処理の基本

入会金・名義書換料の扱い

法人会員として入会する際に支払う入会金や会員権代金、名義書換料などは、一般的に資産計上(投資その他の資産など)します。これらは原則として減価償却の対象ではなく、支出した年度の費用にはなりません。

※退会時に返還されない部分は、脱退事業年度の損金に算入できるケースがあります。

 

年会費の扱い

年会費は毎期発生するため費用処理ですが、税務上の区分は「利用実態」により変わります。

 

・接待が中心 → 交際費

・社員向けイベントなど → 福利厚生費

・個人的利用 → 給与扱い(役員・従業員)

「通常は交際費」という実務上の傾向はありますが、最終的には利用目的で判断される点が重要です。

 

プレー代の扱い

プレー代・キャディーフィ・飲食代なども、利用目的ごとに分類が必要です。

 

・取引先との接待 → 交際費

・全社員向けイベント → 福利厚生費

・私的利用 → 給与(役員賞与・従業員給与)

 

「社員だけのラウンドは必ず給与」というわけではなく、目的と利用者の範囲が妥当であれば福利厚生として認められる場合もあります

 

 

 

3.よくある誤解と税務上の注意点

「節税になる」という誤解

ゴルフ会員権本体は資産計上であり、支出時には損金にならないため、購入自体に節税効果はほぼありません。損金になるのは、年会費やプレー代など“利用時の費用”に限られます。

ただし、利用時費用も交際費の枠や用途に応じた制限があるため、期待するほど節税効果は大きくありません。

 

社長・役員の私的利用リスク

記名式法人会員で特定役員が私的に利用すると、その利用分は給与認定(役員賞与)されるリスクが高まります。

 

・入会金等は役員への経済的利益と認定される可能性

・プレー代や飲食代も給与扱いとなる可能性

 

福利厚生費として認められにくいケース

福利厚生費として非課税扱いされるには、一般的に以下の条件が求められます。

 

・全従業員に利用機会が公平にある

・利用ルールが明文化されている

・特定の役員に偏っていない

 

満たさない場合は、交際費または給与(賞与)扱いとなります。

 

家族同伴利用の注意点

家族の利用は私的性格が強いため、原則として家族分の費用は給与(役員・従業員)扱いとなる可能性があります。どうしても同伴が必要な場合は、個人負担との区分を明確にしましょう。

 

利用記録がない場合の否認リスク

ゴルフ利用は「業務との関連」を示す記録が特に重視されます。

 

・目的・参加者・日付の記録がない

・領収書に相手先情報がない

・社内申請書が整備されていない

 

このような場合、交際費の損金算入が否認される可能性があります。

 

 

 

4.正しい処理のために押さえておくポイント

利用目的の明文化

・接待目的の利用

・社内イベントでの利用

・私的利用は会社負担の対象外

 

などを社内規程として文書化することが重要です。

 

利用記録の徹底

次の項目は必ず記録・保存しましょう。

 

・日付

・ゴルフ場名

・参加者・取引先

・利用目的

・費用の内訳(会社負担/個人負担)

 

定期的な利用状況のチェック

・年間の利用頻度

・利用者の偏り

・接待と社内利用のバランス

 

これらを確認し、会社として会員権を保有し続けるか定期的に見直しましょう。

 

税理士への事前相談

会員権の種類(預託金制/株主制など)や会社の規模・利用実態により会計処理は変わります。購入前後に必ず専門家へ相談すべきです。

 

 

 

5.購入前に検討すべき3つのポイント

年間利用見込みと利用範囲

・接待で年間どの程度利用するか

・社内コンペ等の実施回数

・利用対象を役員に限定するか社員へ広げるか

 

利用見込みが曖昧なまま購入すると、実質“使わない資産”を抱えることになりかねません。

 

交際費800万円枠とのバランス

中小法人は交際費等のうち年間800万円まで損金算入可能ですが、

 

・会食費用

・贈答費用

・ゴルフ関連費用

 

などすべてがその枠に含まれるため、費用配分を慎重に考える必要があります。

 

購入コスト・売却リスク

ゴルフ会員権は相場変動が大きく、

 

・購入代金

・名義書換料

・年会費

・売却時の相場

 

などを総合的に判断する必要があります。スポット利用(ビジター利用)の方が合理的なケースもあります。

 

 

 

6.まとめ

法人によるゴルフ会員権の購入では、以下のポイントが特に重要です。

 

・会員権本体は資産計上で即時の節税効果はない

・損金算入できるのは、年会費やプレー代など利用時費用のみ

・利用目的・参加者・記録が不十分だと給与認定や損金否認のリスクがある

 

購入前には、

1.利用見込み

2.交際費800万円枠とのバランス

3.購入コストと売却リスク

 

を慎重に検討し、必ず税理士などの専門家に相談のうえ運用ルールを整備しましょう。